ごきげんよう、雪原てとらです。
さて、7月13日夜より『SUBWAY B.B.BLUE』を公開中です。
素敵な音声はこうのとりさん、撮影モデルは海老天さんの協力です。
あらためて感謝申し上げます。
目次
- 『SUBWAY B.B.BLUE』の役割
- 再生しつつ、解説しよう
- 0:01 360°スタビライザー映像
- 0:03 港町ヨコハマっぽい波
- 0:13 電車接近の描写
- 0:14 電車接近の描写②
- 0:18 車両のノイズ
- 0:21 イントロMG:ボカロPV参考
- 0:27 発車後車内放送
- 0:35 センター北 風景登場:ギャルゲOP参考
- 0:40 新羽アニメーション:Canon CM参考
- 0:42 illustratorで描いて画像ループ。
- 0:45~ Cinematic B-roll
- 反響の大きかった「Cinematic」シーン
- 余談:面白くないCinematicの共通点
- 人物シーンはDaVinci Resolveを利用。
- 0:56 LOVE Y.R.Pに敬意を払って。
- 1:06 一日乗車券CG
- 1:07 新横浜CG:誰も知らない背景事情
- 1:10 岸根公園:駅名標
- 1:13 新横浜のりかえ案内
- 1:15 新横浜上空×Google Earth
- 1:21 桜木町ランドマーク
- 1:26 ドア閉めアニメーション(オリジナル)
- 1:29 快速湘南台行きです
- 1:32 関内駅: 『Metryrie』参考
- 1:33 上大岡→上永谷:『Naritation』参考
- 1:35 まもなく戸塚
- 1:40 ドア上LED:ベイスターズ・ニュース
- 1:38 踊り場-下飯田:『URAWA』参考
- 1:42 湘南台×Google Earth
- 1:45 お忘れ物Blenderアニメーション
- 余談:Blenderについても伏線があった
- 1:46 終点前×モーショングラフィックス
- おわりに。
『SUBWAY B.B.BLUE』の役割
すでにニコニコ・Twitter・YouTubeでは、多くの方に👍をいただいています。
鉄道MAD古参or大御所なクリエイターさんの言及、ゆっくり実況でとても有名な方によるいいね、ほか海外の映像師からのコメントなども届いています。まじかよ、すげぇ作品になっちまった。
ニコ動でコメントをぜひ書いてね。
制作陣がよろこびます。
動画が盛り上がります🙃😏
B.B.BLUEは、どんな映像であるべき?
多くの方がご存知の通り、『LOVE B.B.B』でつくられたMADには京急線を舞台とした名作『LOVE Y.R.P』が存在しています。
その音や動画展開ににじみ出るエモさ、名曲『赤い電車』へのアプローチ、エネルギーの流れを感じるシェイプモーションは最高。
何をとっても素晴らしいMAD映像作品。
SUBWAY B.B.BLUEが
同じジャンル「鉄道MAD」で同曲に挑む以上、
知る人はニヤッとできるリスペクトを抱きつつ、
2020年にふさわしい斬新な表現も求めたい。
そんな『SUBWAY B.B.BLUE』で
特に考えまくって制作したポイントを
ご紹介いたしましょう。
再生しつつ、解説しよう
0:01 360°スタビライザー映像

今回の撮影にあたり、
電動3軸スタビライザー「WEEBILL LAB」くんをフル活用しています。
実戦投入した初めての映像です。

この1カットを撮るのに、
実はかなり場所を選びました。
いくら空いている昼間の地下鉄とはいえ、
ジンバル+カメラを回すとなると、ほかのお客が誰もいないのが望ましい。
今回はブルーラインの「新羽始発」を利用しました。ドアが開いたらすぐに歩いてもらい無事撮影おしまい。VOLTEXモードは面白い描写ができる反面、ちょっとぶれやすいようです。再生速度50%で調整をかけています。
0:03 港町ヨコハマっぽい波

多くの人は「東京湾でしょ?」って思うはずです。
しかし。
これは海外で撮影されたフリー素材です。
そういうものです。
0:13 電車接近の描写

・「まもなく1番線に」の下。
細かい文字が書かれていますね。暇なら読んでみてください。

・画面中央のわちゃわちゃ。
これは海外の方がフリーで配布している
デカル(細かいシェイプ)集を採用しました。
ちょうど[G][B](地下鉄2路線の略称)がそろったので
ここを切り取っています。
0:14 電車接近の描写②

手前のレイヤーで、
到着表示風のグラフィックを動かしています。
ただ種別表示だけ動いていても微妙なので、
ここでは背景の画像も同方向に動かしています。
奥行きの関係上、
背景と手前の動きには大小をつけています。
0:18 車両のノイズ

MAD音声に感じられる
コンプレッサー(ブロワーかな?)音。
これを顔文字で視覚化しています。
0:21 イントロMG:ボカロPV参考

MAD音声は駅アナウンス中心です。
FRENZのボカロPVをかなり参考にしつつ、
シンプルに仕上げています。
0:27 発車後車内放送

今回の撮影は、
COVID-19緊急事態宣言解除後に実施しています。
「窓開けて換気してね」っていう
肉声放送が入るのもそう見られるものではない。
記憶の意味も込めてここに一文追加しています。
0:35 センター北 風景登場:ギャルゲOP参考



・背景では、空→観覧車の流れを。
本当は駅名と対応していないんですが、きっと誰も気にしない。
・建物ではFlash的なモーションを実現。
GIMPで画像を切り分け、それぞれ別々に動かしています。
これは、
『スタディ§ステディ』OPムービー
の技法をアレンジして、
MADに溶かしだしたものです。
0:40 新羽アニメーション:Canon CM参考

新羽駅で待機する始発電車を再現。
車両基地の地理コードも配置しています。
駅名シェイプアニメは、
Canon製一眼レフカメラ
『EOS 5Dm4』の紹介ムービーを
再構築したものです。
0:42 illustratorで描いて画像ループ。


illustratorでお絵描きしたシーンです。
カラーで違和感なく仕上げられる自信がなく、
ここではオールホワイトの描写です。
0:45~ Cinematic B-roll

・このシーンを撮るための、Sony α6300
撮影当日は16-50mmレンズで半日過ごしました。
次は、16mmf1.4の単焦点で撮りたいね。

・スペルミスった
Minicipal→Minucipalでした。
関係者の皆様におわびいたします。
英語勉強しなおしてきます……。

・下車MADでも珍しいモデル起用
雪原てとらのリア友である、
海老天さんにモデルになっていただきました。
マジで助かった、感謝。
反響の大きかった「Cinematic」シーン

鉄道MADのセカイにこれを持ち込んだのには、
深い意図があります。
新しい表現技法・ラフなCinematicを
紹介したかったのです。

・下車にもCinemaの選択肢があってよいのではという提案。
※Cinemaな色味をもつ下車はいくつかあります。しかしながら、作品のための人物撮りという概念は存在しないはずです。途中下車MADとCinematic Vlogが「うp主のお出かけ」という共通点を持っているのは非常に興味深いことであり、モデルという手法にも可能性を感じるのです。
・日本の多くのCinematicが静かすぎることへの疑問。
※VLOG文化が入ってから、多くの日本人には「Cinematic=彩度抑え目・ボケ・静か」という固定観念が漂っている気がします。しかし海外を見渡せば「躍動感のあるCinematic」ってのも共存しています。それを知らない(日本の静かなCinematicばっかり見ている)みなさんに、「もっとラフな・動きのある」Cinematicを伝えたいのです。Yusuke Okawa氏のような。
余談:面白くないCinematicの共通点
・スピードランプ(再生速度の緩急)が少ない
緩急がなければ面白くないのは、当たり前の話です。
人物シーンはDaVinci Resolveを利用。

DaVinci Resolve 16
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/
AviUtlがなんでもできるとはいえ、
「なんでも快適」とは限りません。
このシーン、AviUtlを捨てました。
若干のカラーグレーディングを仕込む都合、
また海外Vloggerより学んだ
本格的なスピードランプをやる都合です。
0:56 LOVE Y.R.Pに敬意を払って。

スペルミスを犯した上下の黒帯。
ここ『 Y.R.P』のリスペクトです。
また車両紹介もY.R.Pにそったものです。
「3000R」とかの下にある文字は、
交通局公式の車両紹介から引っ張ってきたものです。
1:06 一日乗車券CG

発行日と有効日が違うのは、単純に忘れただけです。
ホンモノは「発売当日限り」ですが、
「視聴当日限り」にリメイクしています。
※一日乗車券CGシーンを作っている最中に、「カメラ制御でぼかしを使おう」の映像学区を思いついたので、ここに貼っておきます。ぜひ見てちょうだいね。
1:07 新横浜CG:誰も知らない背景事情

特にモチーフはなく、完全オリジナルです。
背景になにやら横浜っぽい街並みがありますね。
しかし実はこれ、横浜の画像ではありません。
大阪のループ背景を使って、
どれほどバレないか挑戦していたのです。
1:10 岸根公園:駅名標

「篠原池 – Shinoharaike」
地元の人にはこっちでも通じるそうです。
通過4駅のうち1駅だけ、
最寄りのバス停の名前にしときました。
1:13 新横浜のりかえ案内

このシーンは
今夏最もスタイリッシュなギャルゲー
『ハミダシクリエイティブ』OPムービー
を意識しています。
編集ソフトの重さなどトラブルが続き、
当初の予定よりシンプルに仕上げています。
鉄道PVerである1人のフォロワーさんがこの動画をみて、私の発言「ギャルゲOPから映像を学べる」を理解したそうです。よくわかってらっしゃる。
1:15 新横浜上空×Google Earth

乗り換え路線にラインをひいています。
「東急新横浜線」のラインもあります。
工事で陥没しまくってるけど大丈夫かな……。
制作にあたって、
こちらの下車MADを参考にしています。
1:21 桜木町ランドマーク

素晴らしい青空になってくれて助かりました。
α6300+Cine4のフラットな色味で撮影。
彩度コントラスト上げ目、
さらに上からトーンをかけています。

東急東横旧線は、お乗り換え。
※「東横旧線」すきってコメがありました。良い視点ですね。
1:26 ドア閉めアニメーション(オリジナル)

1:29 快速湘南台行きです

まさか気づいている人はいないと思いますけど、
『ハミダシクリエイティブ』から
着想を得たシーンです。
※「新百合ドリーム……なんか意味深やな」
1:32 関内駅: 『Metryrie』参考

以前Twitterに上げたE233のイラスト、
SUBWAY.B.B.BLUEの伏線になっていました。
制作にあたって参考にしています。
※このMAD、すごく斬新な表現をしているので見るべきです。GoogleEarthとイラストを使ったアニメーションを優先して、車両動画を脇役にするなんて。普通思いつかない。すげぇよ。
1:33 上大岡→上永谷:『Naritation』参考

ここも鉄道MADを参考にしています。
ちょうど1年前の下車12周年の優秀作、
『Naritation』です。
文字アニメ・黒帯表現の参考になりました。
1:35 まもなく戸塚

バーコードってアクセントにいいですよね。
1:40 ドア上LED:ベイスターズ・ニュース



(*^◯^*) ←ベイスターズファンを示す顔文字
徐々に姿を消しつつある、
ブルーラインドア上LED表示機をイメージ。
神奈川新聞ニュース。
1:38 踊り場-下飯田:『URAWA』参考

音声がテンポ上げてきているので、
何かいい連続表現はないかな…と考えました。
こちらのMADのシーンを参考にしました。
ここに関して言えば、
滑らかな気持ちのいい映像はできませんでした。
中間のCinematicの都合で、
動画全体を24fpsで固定したためです。
※なぜ24fpsを使うかというと、これが人間の視覚に対し基本のフレームレートだからです。動きが程よくブレてくれます。24fps実写にアニメーションを合わせた時、時間制御>コマ落ち2をかけないと滑らかさに差が生じます。この差が違和感を出してしまうのが嫌なのです。(単純に私のAnimationが下手くそなだけかもしれませんけれど)。ちょっとカクつきますが、滑らかさの落差さえなければ、案外人間そこまできにしないものです。
1:42 湘南台×Google Earth

ブルーラインが入ってきて、
小田急の線路に直角にぶつかる湘南台。
これを利用して、
小田急の線路に一本ラインを重ねています。

次の乗換紹介シーンに流れをつなげる。
※SUBWAY B.B.BLUEをみて、「Flash時代を思い出す」と言ってくれた方がいらっしゃいました。これは興味深いことです。なぜなら、湘南台で使ったような“図形アニメーションのつながり”は、まさしくFlash時代のギャルゲPVから勉強したものであるからです。
1:45 お忘れ物Blenderアニメーション

忘れ物、といえば傘ですよね。
なにか仕掛けてやろうと思って、
ここでBlenderに手を出しました。
こちらを参考にしました。
非常にわかりやすかったです。
余談:Blenderについても伏線があった

ね?
1:46 終点前×モーショングラフィックス



MAD音声を作ってくれたこうのとりさんが、最後怒涛の終点放送ラッシュを詰め込んできてくれました。これはテンション上がる。
ここで登場したのが、
・基本図形を利用したアニメーション
※具体的には四角形・円・三角形・テキストによるモーショングラフィックスです。『SUBWAY B.B.BLUE』はここまでフラットな作風であり、非常に相性の良い表現です。
制作にあたって、こちらの素晴らしいPV映像を参考にしています。これくらいのレベルまで到達してみたいなぁ。すげぇよな……

※横浜市マーク。
おわりに。
とにかく考えまくった、合作MAD映像

下車MADの映像なんて作ったこともなかったし、どうすればMADに近づくのかわからなかった。下車的な表現(特に文字アニメーション)を真似するのがあまりに難しくて、結局オリジナルの表現や全くなかった表現を追いかけることになりました。
しかしその表現を思いつく過程で、信じられないほどたくさんの素晴らしい途中下車シリーズに出会えました。すごく楽しい体験になりましたよ。
あ、そうだ。
今こうやってブログを書いているあいだに見つけた、お気に入りの途中下車シリーズを最後に紹介しておきましょう。
音も映像もまさに「爽やか」です。動きモノを作りまくっていた雪原てとらにとって、目と耳を癒しながら見ることのできる作品は最高です。
めっちゃ好きです。
マイリストしました。