ごきげんよう、雪原てとらです。
私が週1ペースで出している『映像学区』。
6月末は「カメラ制御」をテーマにお話をしました。
カメラ制御にボケを。
AviUtlにはカメラ制御という機能があります。主体を動かしたり、立体的な表現をしたりするときに重宝しますね。しかしカメラ制御の一般的なチュートリアルでは、ほんとにド基礎の使い方しか解説してくれません。
そこで、ここでは使いたくなる「コツ」を1つお教えしましょう。
カメラ制御を使用するとき、「ボケin・ボケout」というやり方を提案したい。
※詳細は動画本編で。

人間の目も一眼カメラも、基本的にある1点にピントが合うよう設計されています。
ピントが外れるエリアはボケるのが普通です。
ってことはですよ?
映像中でもBOKEH(ボケ)を使えば、「人間の目に近い=気持ちのいい動画表現」につながりやすいのではと思うわけです。
『あつ森』グラフィックも実は同じ論理

『映像学区』カメラ制御回の投稿後。
同じ論理がゲームの世界にも共通している気がしました。今回はNintendoの大人気コンシューマーゲーム『どうぶつの森』シリーズを参考にして「ボケの重要性」を補足します。
どんなツールで作るにしても、誰かに見せるグラフィックづくりであれば配慮すべきところは変わりません。BlenderだろうがAfterEffectsだろうがUnreal Engineであろうが目指すところはいっしょ。
つまり。
ゲームのグラフィックが向上したのであれば、そこから学べることはAviUtlの動画編集にも活かせる可能性があるということです。
『あつ森』のポートレート表現

『あつまれどうぶつの森』ではスマホカメラの概念が導入されました。被写界深度を詳しくいじることはできないようですが、どうやら自動で背景ボケが適用されるようです。
近くにオブジェクトがあれば、うまく遠くがボケる仕組みです。
上のグラフィックでは手前の家にピント合焦して、遠くの桜の木がボケています。

夜間に月光がさし込むと、遠景のボケが良い味を出してくれます。
『あつまれどうぶつの森』では、このような月光がきれいに表現されていることも評価に値するでしょう。草が生えた地面のチリチリ具合がお見事です。素晴らしい。
キャラとの会話で背景が変化する


※分かりづらいが、2枚目の背景がわずかにボケている。
キャラクターとの会話において、背景ボケの変化が見られます。
キャラクターとの会話前(たとえば1番目の画像)では、背景をぼかすことはありません。一方、キャラクターとの会話が始まると、背景がパッとボケるのです。これはiPhoneのポートレートモードにそっくりです。
おそらくキャラクターを目立たせたいときに、背景ボケをつけているのではと思います。ボケには前のオブジェクトに目をひきつける効果がありますので。
あつ森グラフィックは、iPhoneやZV-1と共通の思考を持っている
iPhoneのカメラにはポートレートモードという機能があります。自撮りするときぐらいでしか使えない機能ですが、背景を自動認識してぼかしてくれる機能です。

この夏Sonyより発売されたVLOGカメラ「ZV-1」。
このカメラは撮影時に背景のぼかし具合を調節できるそうです。今までスマホカメラでは画質に苦しみ、一眼カメラではピント合焦に苦しんだYoutuberは喜びそうな機能。
これら2つの最新のカメラと『あつ森』のグラフィックには共通点があります。
それが自動でボケをつける概念です。
いくらゲームとはいえ、このような実写の世界と共通点があるのは驚くべきことだと思います。また実写とCGの世界が徐々に近づいていることに期待を感じます。